
「プレゼンのスクリプトを完璧に用意して、それを読み上げればなんとかなるはず」
そう思って、スライドごとに英語の原稿をびっしりと用意し、PC画面のカンペを必死に追いかけたことはありませんか? かくいう私も、外資系に入りたての頃はそうでした。画面の文字を目で追うのに必死で、聴衆の顔を見る余裕なんて1ミリもありません。
そんな時、最悪の事態が起こります。
「Wait, can you clarify that point?(ちょっと待って、今の点詳しく教えて?)」
本国のボスからの突然の質問。頭が真っ白になり、視線はカンペのどこを読んでいたか見失う。沈黙が流れ、脇の下には嫌な汗が伝う……。
この記事では、英語プレゼンで「カンペ読み上げ」がなぜ危険なのかを解説し、そこから脱却して「自分の言葉で聴衆を動かす」ための具体的なステップを、私の10年の外資系経験から伝授します。
1. カンペ読み上げが「キャリアの時限爆弾」である理由
英語に自信がないとき、カンペは「命綱」に見えます。しかし、実際にはあなたの首を絞める「罠」であることが多いのです。
① 柔軟性がゼロになる
プレゼンは「対話」です。特に外資系のエグゼクティブは、発表の途中でも容赦なく質問を投げ込んできます。文字で書かれた原稿に依存していると、一度議論が脱線した瞬間に、元の場所に戻れなくなります。
② 「アイコンタクト」という最強の武器を失う
プレゼンで人を動かすのは、正しい文法ではなく「熱量」と「信頼」です。下(画面)ばかり向いてボソボソと原稿を読んでいる人に、誰が数億円の予算を承認したいと思うでしょうか?
③ 英語力が伸びない「負のスパイラル」
カンペを用意すればするほど、「原稿がないと話せない自分」を強化してしまいます。これでは、いつまで経っても現場の最前線で戦える英語力は身につきません。
2. 【実録】外資系で出会った「最強のツワモノ」のエピソード
ここで、私が外資系で出会ったある「猛者」の話をしましょう。
その方は、英語は決して得意ではありませんでした。しかし、本国から来たエグゼクティブを前に、彼はカンペを準備するどころか、説明すら放棄したのです。
複雑なデータが並んだスライドを映し出したかと思うと、彼は画面を力強く指差し、ボスに向かってこう言い放ちました。
「Look at it!(これを見ろ!)」
……以上。 もはやプレゼンですらありません。「見ればわかるだろ」という究極の開き直りです。
面白いことに、その場にいた外国人のボスたちは、一瞬呆気にとられたものの、その力強い「Look at it!」に押されるようにスライドを食い入るように見始め、「……Okay, I see your point.(なるほど、言いたいことはわかった)」と納得してしまったのです。
このエピソードから学べる「本質」
もちろん、皆さんに「Look at it!」だけで押し通せと言いたいわけではありません(笑)。 しかし、このエピソードには重要な教訓が隠されています。それは、「完璧な原稿を読み上げるよりも、強い意志を持って相手の目(と資料)を見ることの方が、時に人を動かす」ということです。
カンペに視線を縛られている人は、この猛者が放った「Look at it!」というエネルギーの10分の1も伝えられていないかもしれません。
3. カンペから脱却するための3つのステップ
では、どうすればカンペなしで英語プレゼンに臨めるようになるのか。一気に「完全即興」を目指す必要はありません。以下のステップで少しずつ「文字」から離れていきましょう。
ステップ1:最初は「丸暗記」から始める(ただし冒頭3分だけ)
特に緊張する「冒頭の挨拶からアジェンダ紹介まで」の3分間だけを、完璧に暗記します。ここさえ乗り切れば、脳が英語モードに切り替わり、その後のプレゼンがスムーズになります。さすがにすべてを丸暗記で覚えるのには限界があります。
ステップ2:スクリプトを「キーワード」に変換する
スライドごとに文章を書くのをやめましょう。代わりに、「絶対に外せないポイント」を3つだけキーワードでメモします。
- Market Share: +5%
- Target: Younger Gen
- Key Takeaway: Growth! このメモさえあれば、質問されて視線が外れても、すぐに「今どこを話しているか」を把握できます。
ステップ3:スライドを「カンペ」にする
実は、優れたスライドそれ自体が最高のカンペです。 スライドを見れば次に何を話すべきか思い出せるように、ビジュアルとキーワードを配置します。自分が話すための「道標」をスライドの中に仕込んでおくのです。わたしはこれを使っています。スライドのメッセージを磨き上げることで伝わりやすくなります。
4. プレゼン中に質問された時の「魔法のフレーズ」
カンペ脱却を妨げる最大の恐怖は「質問への対応」です。ここを乗り切るためのサバイバル・フレーズを覚えておきましょう。
- 質問を理解する時間を稼ぐ"That’s a very insightful question. Let me make sure I understand it correctly..."
- 一旦保留にしてプレゼンに戻る"Great point. I'll cover that in detail in the next section. Can I get back to you in 5 minutes?"
- カンペの場所を見失った時に正直に言う"Give me just a second to find my place... okay, back on track."
5. 【キャリアの視点】「伝わる英語」は「完璧な英語」ではない
外資系で10年はたらいて痛感したのは、「完璧な英語を読み上げる担当者」よりも、「たどたどしくても自分の言葉で訴えかける担当者」の方が圧倒的に評価されるという事実です。
本国のボスは、あなたの発音や文法をチェックしに来ているのではありません。あなたの情熱(Passsion)と、ビジネスを動かそうとする意志(Will)を見に来ているのです。
カンペを捨て、相手の目を見て話す。 その勇気が、あなたの「エグゼクティブ・プレゼンス(指導者としての存在感)」を確立させます。
6. 2026年、本質的な「突破力」を身につけるために
ここまで「プレゼンの型」についてお話ししてきましたが、最後に一つ、残酷な真実をお伝えします。
いくらテクニックや「Look at it!」という気合を準備しても、**土台となる「英語の瞬発力」**がなければ、本当の意味でカンペから脱却することはできません。
実は、私もかつては「カンペ依存症」の重症患者でした。 ある重要な英語会議で、用意していた原稿が全く通用せず、本国のボスに「You don't understand the business, or you just can't speak English?(ビジネスを分かってないのか、ただ英語が喋れないだけか?)」と詰められ、文字通り「Kill(撃沈)」された経験があります。
あの時の絶望感、悔しさ。
私はそこから、泥臭く「英語の瞬発力」を鍛え直す決意をしました。スタディサプリを使い倒し、800時間を超える格闘の末に、私はようやくカンペを捨て、世界中の同僚と対等に、時に笑いながらプロジェクトを動かせる「最高の楽しさ」を掴み取ることができたのです。
もしあなたが今、「プレゼンのカンペが手放せない」「会議が怖くて夜も眠れない」と悩んでいるなら、ぜひ私の挫折と復活の記録を読んでみてください。
▶ 【実録】英語会議で「Kill」された私がスタサプ800時間で世界へ。US・欧州・アジアの同僚とプロジェクトを動かす「最高の楽しさ」を掴むまで
結論:サバイバル術を積み重ねた先に、自由がある
英語プレゼンのカンペ脱却は、外資系サバイバルの第一歩に過ぎません。 「名刺交換」から始まり、「ハイレベルな資料作成」、そして「現場でのプレゼン」。これらの「型」を一つずつ自分のものにしていくことで、あなたのキャリアは確実に積み上がっていきます。
当ブログでは、今回のような「明日から使える外資系サバイバル術」を多数発信しています。英語の壁にぶつかった時、働き方に迷った時、ぜひ以下のまとめ記事をあなたの「武器庫」として活用してください。
▶ 外資系企業で生き残るための「ビジネス英語サバイバルガイド」まとめ
2026年、あなたがカンペを投げ捨て、堂々と世界を相手にプレゼンする姿を楽しみにしています。